
ロールカシメとプレスカシメの違い
ロールカシメとプレスカシメは、材料を変形させて部品を固定するという点では共通しています。しかし、ロールカシメとプレスカシメでは、ワークに力を加える方法が異なります。
ロールカシメはローラーを使い、円筒部の端面に沿って連続的に圧力を加える加工方法です。ローラーを端面に押し当てながら回転させて外周方向へ動かし、少しずつ内側へ折り曲げていくため、円周方向に沿った成形と相性がよい方法です。ローラーが接触する極めて狭い面積に応力を集中させるため、プレスに比べて非常に小さな荷重で加工できるのが特徴です。
一方、プレスカシメは、一方向から一度に大きな力でプレスし、リベットや端面を真上から変形させて固定します。プレスカシメは短時間で一気に成形しやすく、同一形状を繰り返し成形する量産工程などで利用することが可能です。
このように、ロールカシメとプレスカシメにはそれぞれ異なる特徴があります。ロールカシメを選ぶかプレスカシメを選ぶかは、単純に設備の種類だけで決めるのではなく、部品の構造や端面の状態、求められる寸法公差などを確認して判断することが大切です。
ロールカシメがプレス加工より選ばれる業界・活用事例
ロールカシメは、円筒状の部品や容器など、端面を内側に折り曲げて成形する用途で活用されています。素材や形状によってはプレス加工では難しい、精度の高い仕上がりを得られる点が特徴です。
ただし、ロールカシメが採用される分野では、単に部品を変形できればよいというわけではありません。端面の外観、寸法、耐久性など、用途に応じた条件を満たす必要があります。
ここでは、ロールカシメが活用される例として、スプレー缶やボトル容器、電気コネクター、変電所向け部品を紹介します。
スプレー缶やボトル容器のつなぎ目の加工
スプレー缶やボトル容器などの円筒状の容器では、容器の端部を成形する工程にロールカシメが用いられる場合があります。
スプレー缶やボトル容器では、端部の仕上がりが外観だけでなく、キャップやバルブとの密着性・気密性にも直結します。端部に変形やばらつきがあると、キャップとの接触状態が不均一になり、内容物の漏れや内圧の保持性能低下につながる恐れがあるためです。
ロールカシメはプレスカシメとは異なり、圧力を分散させながら段階的に成形するため、円筒部の端面を周方向に均一に仕上げやすい点が特徴です。また、プレスのような大きな荷重をかけないため、薄肉の容器が座屈してしまうのを防ぐことができます。
なお、プレスカシメはロールカシメとは加工原理が異なります。プレスカシメは短時間で成形できる反面、缶・ボトルのような薄肉円筒部の端部を周方向に均一に巻き込むような加工には不向きな場合があります。
データセンター向け電気コネクターの処理
電気コネクターのような精密部品では、寸法の精度や外観まで含めて、仕上がりを細かく確認する必要があります。ロールカシメはこうした精密な仕上がりが求められるコネクター類の端面処理にも適した加工方法です。
また、コネクターは小型かつ複雑な形状であることが多いです。プレスカシメのように一度に大きな圧力を加える方法では、部品の変形や割れといったリスクが懸念される場合があります。
ロールカシメであれば、プレスカシメと違い圧力を連続的かつ段階的に加えられるため、こうした精密部品の加工にも対応しやすくなります。
変電所向け部品の加工
変電所向けの部品には、屋外環境での使用や長期間にわたる稼働を前提として、高い耐久性と安定した仕上がりが求められるものがあります。円筒状の部品であれば、端面に力が偏りにくいロールカシメは、振動や温度変化、経年劣化に伴う変形・劣化リスクを軽減しやすい加工方法の1つです。
端面に力が偏ってかかると、そこを起点にした変形や劣化が生じやすくなりますが、ロールカシメによる均一な成形はこうしたリスクを軽減しやすい方法といえます。
なお、変電所向け部品の中でも、リベットで固定する比較的単純な形状の部品を短時間での量産の必要がある場合には、プレスカシメが適しています。プレスカシメは円筒状部品のような周方向の均一性は求めにくいものの、加工時間を短縮しやすく、同一形状の部品を繰り返しの量産工程との相性がよい加工方法です。
プレス加工と比較した場合のロールカシメのメリット

プレスカシメは短時間で一度に形状を決めやすい方法です。一方、ロールカシメはローラーを使って材料へ連続的に圧力を加える方法です。そのため、ロールカシメとプレスカシメでは、得意な形状や設備構成が異なります。
プレスカシメとロールカシメの加工原理の違いから、ロールカシメには、プレスカシメと比較した場合に活かしやすい特徴が複数あります。
ここでは、プレスカシメと比較して確認しておきたいロールカシメの特徴・メリットを見ていきましょう。
端面を均一できれいに仕上げられる
一方向から強い力を加えてかしめるプレスカシメとロールカシメでは、部品を接合する工程そのものが異なります。ロールカシメでは、ローラーを端面へ押し当てながら周方向へ動かすため、円筒部の端面を連続的に成形できます。
ただし、ロールカシメを採用すれば必ず均一な状態になるわけではありません。材質や板厚、寸法、ローラーの条件などの適切な設定が大切です。
プレスカシメと比べる際も、事前に実際のワークでロールカシメを試し、必要な条件を確認しましょう。
既存のスピンカシメ機を活用できる場合がある
ロールカシメでは、設備の仕様によって既存のスピンカシメ機を活用できる場合があります。ロールカシメに対応したローラー治具を取り付けられる機械であれば、新しい専用機械を導入する必要がありません。
もちろん、すべてのスピンカシメ機でロールカシメが可能とは限りません。機械の仕様、ローラーの寸法、必要な加圧力、ワークの大きさなどの確認が必要です。プレスカシメとロールカシメを設備面から比べる場合は、機械本体だけでなく治具まで含めて検討しましょう。
なお、弘機商会では、既存のスピンカシメ機を活用できるローラー治具をご用意しています。導入コストを抑えたい、新たな加工方法を導入したいとお考えの事業者様は、弘機商会へご相談ください。
ロールカシメ加工機導入や設備のご相談は弘機商会にお任せください

ロールカシメとプレスカシメのどちらを選ぶかは、対象となる部品の形状や材質、寸法、板厚、生産数量などによって決める必要があります。
弘機商会では、スピンカシメ機に装着できるローラー治具を多数製作しています。新たな設備を導入するコストや設置スペースを確保することなく、スムーズにロールカシメを導入していただくことが可能です。また、お客様のワーク形状に合わせてローラーの角度や形状をカスタム設計できるため、シビアな気密性や寸法精度が求められる案件にも対応できます。
ローラー治具のほか、細かな備品の販売から設備メンテナンスまでトータルでサポートいたしますので、カシメに関わるご相談はぜひ弘機商会へお問い合わせください。
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